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INTERVIEW No.06

アンティ・アウティAntti Autti

スノーボーダー

2005年Winter X Games男子スーパーパイプで強豪のアメリカ勢を抑えて、ヨーロピアンスノーボーダーとして史上初となる勝利を皮切りに、世界レベルのコンテストで名を馳せたアンティ・アウティ。フィンランドを代表する国民的スーパースターが表現する自分なりのスノーボードとは?

大切にしている言葉

自由で型にはまらない
スノーボードとの出会い

── アンティは北欧フィンランド北部ラップランドの出身だと聞きました。どんな場所ですか?

北極圏のすぐとなりにある、フィンランドのロヴァニエミの出身です。ロヴァニエミはサンタクロースが住んでいる街として有名なんです。

── スノーボードを始めたきっかけは?

私の父はスポーツが大好きで、フィンランドの伝統スポーツであるペサパッロ(野球に似ている国技)や地元のサッカーチームでプレイしていました。私が幼い頃、父は私にチームスポーツをさせようとしていましたが、型にはまるのが嫌だったのか、いつも長続きはしませんでした。ルールのあるスポーツが合わなかったのでしょう。

9歳の冬に家族でスキーに出かけたとき、スノーボードをしている若いグループを見つけました。それがスノーボードとの出会いです。野球、ホッケー、サッカーなど、フィンランドで人気のある全てのスポーツを経験していましたが、もっと自由なスポーツを常に求めていたのでしょう。だからこそスノーボードに出会った時は衝撃的でしたね。当時、地元のスノーボーダー達はベースボールキャップを被り、ストリートからそのまま出てきたようなファッションで滑っていました。その自由感に一目惚れしましたね。他のスポーツと比べて反逆的なところも好きでした。

── 初めて出場した大会の事は覚えてますか?

たしか11歳だったと記憶してます。その当時ジュニア部門などは存在しなかったので、年齢問わず誰もが同じクラスに出場していました。ローカルの大会だったので、誰もが知り合いでした。笑ストレートジャンプの大会でしたけど、結果は惨敗でした。

── その当時憧れていたスノーボーダーはいますか?

ユシ・オクサネン、テリエ・ハーコンセン、ヨハン・オロフソン、そしてケビン・ジョーンズですね。特にユシは同じフィンランド出身で、当時スポンサーも同じでしたから、かなり影響を受けました。テリエは誰もが愛するスーパースター。彼のビデオ“サブジェクト・ハーコンセン”は何度も観ました。

── そこからハーフパイプのコンペティションシーンへと踏み入れて行ったんですね。

ハーフパイプの難しさとリズムにはまり、好きになりました。またチームスポーツをしていた事もあったので、トレーニングを積み重ねて大会で勝つというプロセスがスムーズに生活の一部になりました。私の地元ではスノーボードビデオや雑誌を手に入れる事が出来なかったので、遠征に行く度に当時の一番新しいトリックやスタイルを目に焼き付けていました。地元の山ではレベルが高くても、実際にスノーボードシーンが活発な地域に行くと、私の滑りは見向きもされないレベルでした。

2005年Winter X Gamesでゴールドメダルを獲得

得点ではなく、スクリーンを通して
自分のスノーボードを自由に表現する生活へ

── コンペティションシーンから退いて、ムービーを作るという生活に変わったきっかけは何ですか?

10年以上も世界中の大会を転戦しながら、色々な国へ旅をしました。もちろん日本へもTOYOTA BIG AIRやX-TRAILに出場する為に何度も来日しました。その中でチームの撮影にも参加することで、少しづつ「映像を作る」という事にシフトしていきました。あるシーズン、突然ハーフパイプの事を全く考えず、パウダーの事ばかりを考えてました。自分がスノーボードの本質である自由な感覚を求め始めたんだと思います。大会という決められた枠組みの中で、常にいい成績を収めなければならないというプレッシャーは大きく、自分の求めるスノーボードをしてませんでした。「スノーボードで自分は何を表現するのか?自分の求めるスノーボードは何か?」と自分に問いただしていたら、コンペティションシーンから抜け出し、世界中の山へパウダーを求めて旅をする事を自然と選んでいました。

── 映像を通して何を表現したいですか?

難易度の高いトリックや、スノーボーダー達が注目される必要は無いと思っています。雪山を滑るというスノーボードのシンプルな感覚を観る人達が感じ取れるような映像を作りたいです。皆をワクワクさせて、自分のスノーボードを表現したくなるようなインスピレーションを与えたいです。その為にもフィルマーと滑り手が互いに協力して撮影にのぞまなければなりません。フィルマーに芸術的な感覚があっても、滑り手はそれを理解しなければなりません。その逆ももちろんあります。お互いがシンクロするためにも、映像を作る上でクルー全員が同じゴールを共有し、そのゴールを常に明確にしておく必要があります。

── 日本には何度も訪れて、私たちが想像もしなかったエリアを開拓していますね。日本の山の特別なところはありますか?

雪そのもの。それが日本を滑る一番の理由ですね。たとえ積雪の少ないシーズンでも、私の地元とは比べ物にならない。山ももちろんですが、日本の文化、そしてスノーボードを通して出来た仲間達が私の特別な存在です。だから日本に来てもなるべく仲間達の所に泊まらせてもらっています。ホテルに泊まって、フカフカのベッドに寝て、洋風の朝食を食べても、その場所の文化や空気を感じ取る事はできません。短期間でもローカル達の生活に溶け込み、様々な文化的な経験をする事が、その国をダイレクトに経験する最高の方法だと思っています。

撮影のため、ヘリに乗り込む前の待ち時間。飛び立つ前、最後のリラックスタイム。

スウェーデン出身のインゲマー・バックマンが歴史に残るビックエアを放った地、リクスグランセン。アンティ自身もこの技を残したかったという。

1人のスノーボーダーとして
この先も滑り続けるために出来る事

── これから何か面白い事は計画していますか?

今シーズンはまた日本に来て、"CLOSER"と同じ撮影クルーで新しいムービーを作る予定です。日本のスノーボーダーや雪国に住む人々のライフスタイルにフォーカスしたドキュメンタリー形式のショートフィルムになります。冬の後半は地元の山の可能性をもうすこし探ってみたいですね。ただ毎年シーズン中の流れはどうなるか判りませんから、雪を追い求めて動き続けていると思います。また北欧のスノースポーツアスリート達で構成された、気候変動を啓蒙する団体Protect Our Wintersを通して、フィンランドの人々達に地球温暖化や環境に対する理解を広める活動を続けて行く予定です。フィンランドの人々は公の場で話し合わず、自分の考えを表現する事をあまりしませんから、私たちの活動は非常に重要です。

── 雪が無ければ、私たちのパッションも溶けてしまいます。近年の冬に何か変化を感じますか?

普段雪が降らない地方に記録的な大雪が降ったり、また全く降らない冬が来たりしています。冬を通して、気温も以前と比べて高くなっています。本当に寒いと感じる日はシーズンを通しても数日だけのような気もします。2月後半の気温はマイナスにならない事もあり、フィンランド北部では非常に珍しい冬が続いています。確実に何かが変わってきている、そのサインだと思います。

── このインタビューの読者にはスノーボードをやった事の無い人もいると思いますが、何か伝えたいメッセージはありますか?

スノーボードはただのスポーツではなく、そこから生まれる仲間達やライフスタイル全て。本当に楽しいライフスタイルが送れると思います。色々な所に旅をして、仲間も広がって行きます。自然の中に飛び込む事で、季節や地球環境の変化を感じる事もできます。日本には最高の雪と山があります。是非ともスノーボードに挑戦して欲しいです。

スノーボードには、
人生を変える大きな力がある。

アクションショットの合間に。アンティの目の色はアイスケーブのように青くて綺麗。

スウェーデン北部、ノルウェーとの国境近くに位置するアビスコ。かつてアンティが夢中になっていたハーフパイプ状の山がそびえる。

文:加藤健次
写真:中田奨、三浦咲恵(ポートレート)

プロフィール

アンティ・アウティ

スノーボーダー

1985年、フィンランドの北極圏にほど近いロバニエミという町の出身。弱冠16才でプロスノーボーダーに転向し、2005年ノーボード世界選手権で、ハーフパイプとビッグエアの2冠を達成したことで、一躍スノーボード界のスターに。X Gamesで披露したトリックBack to Back 1080は「1080革命」と言われ、スーパーパイプにおける採点基準を押し上げることなった。現在はコンペティションシーンの第一線から退き、世界中を旅しながらフリーライディングを中心に活動。2014年にリリースされた“Approach & Attack”は、Onboard Magazine誌のMost Viewed Film of the Year(最も視聴された映像)に選出されるなど、近年多くの映像作品を残している。2018年には、最新作『CLOSER』が公開された。

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