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GLOBAL

INTERVIEW No.04

中 泰一郎Taichiro Naka

ホグロフスフレンズ・国際山岳ガイド

ニュージーランドで日本人初の国際山岳ガイドとして活躍する中泰一郎さん。ニュージーランドを活動の場として選んだ理由や、そこで知った心地いい自然との関わり方について聞いた。

大切にしている言葉

ウエストランド国立公園にて。 ©Taichiro Naka

川下りに目覚めた少年時代
ふと選んだニュージーランド

── 中さんは高校卒業後に単身ニュージーランドに渡ったそうですね。

僕は北海道の道東の出身なのですが、小さい頃から家族でキャンプや川下りに出かけていて。中学生の頃には漠然と将来は自然に関わる仕事がしたいと思うようになっていました。高校に入ると夏休みにラフティングツアーをしている会社でアルバイトを始めて、川下りに開眼。それでラフティングガイドになりたいと思ったんです。どうせやるなら海外でやりたいという気持ちが強くて、思い切って日本を出てみよう!と。

── 海外でアウトドアが盛んな国は色々ありますが、なぜニュージーランドを選んだんですか?

確かに一番最初に思い浮かんだのはアメリカやカナダでした。英語圏じゃないと語学の面でも大変だろうなと思っていたので。でも、ニュージーランドも英語圏だなと思って調べてみたら、日本と同じ島国で、なんだかこぢんまりとしていていいなという印象を持って。南半球ですから日本と季節が真逆というところも面白いなと思って。

── 実際に暮らしてみてどうでしたか?

最初の1年間は学生ビザを取って、英語の語学学校に通いました。驚いたのは自然がものすごく近くにあって、学校の友人たちもものすごく気軽にトレッキングやクライミングなど、アウトドアでの遊びに出かけていたことです。自然の中で遊ぶということが特別ではなくて、暮らしの一部という感じなのがいいなと思って。アウトドアショップやクライミングジムも身近にあったので、そんな場所へ行くとすぐに一緒に外へ出かける友人が見つかりました。

── 風景も日本とは随分違いそうですね。

暮らしている街の近くの川を下っていても、少し行くとほとんど人工物が見えなくなるんです。橋とか堤防とか何もない(笑)。ありのままの自然の姿というんでしょうか、それには感動しました。水の透明度もすごく高くて、川を下りながら喉が渇いたら川の水をそのまま飲めばいいという。そんな自然の豊かさに圧倒されましたね。

マウントクック村から臨むサザンアルプス。 ©Taichiro Naka 

日本にはない風景
氷河に魅せられて

── 現地ではどのようにガイドの仕事を探したのですか?

日本人だからというわけでは決してないと思いますが、やっぱり職探しには苦労しました。僕は語学学校の後に2年間専門学校に通って、野外教育インストラクターを養成するコースで学んだのですが、それでもなかなかガイドの仕事は見つからなくて。一旦日本に帰国してスキーパトロールやラフティングガイドの仕事をしていた時期もありました。そんな時、ニュージーランドの南島・ウェストコーストにあるフランツ・ジョセフ氷河の氷河ハイクツアーをしている会社でガイドを募集しているという話を聞いて。当時はラフティングのガイドをやりたいと思っていたのですが、ウェストコーストには川もあるし、氷河ハイキングガイドをやりながら川下りもできるだろうということでそこに飛び込みました。

── 山に氷河があるというのは日本では考えられないですね!

僕がニュージーランドの山に惹かれる大きな理由もそこにあって。とにかく氷河がある山は面白いんです。もちろんクレバス(氷河の割れ目)があったりして、気をぬくと命を落とす危険性も高いのですが、氷の作るなんともいえない色彩や造形の美しさ、氷河に削られてできた山々の風景というのは特別なものです。何度見ても飽きないですね。

アスパイアリング山頂からThelma氷河と温帯雨林を見下ろす。 ©Taichiro Naka 

ハードな仕事と、家族の遊び場。
全てがひとつづき

── そんな場所で怖い思いをしたことはありませんか?

実は少なからずあります(笑)。一番肝を冷やしたのはマウントクック国立公園にある氷河で友達と一緒にバックカントリースキーをしていた時で、前を行く友人が次の瞬間にクレバスに落っこちてしまったんです。普段は命綱のロープをつけて歩くのですが、その時は休憩か何かでロープを外していた時で。「ああ、もうダメかもしれない!」と思ってクレバスを覗き込んだら、幸運にもちょっとした出っ張りに彼の体が引っかかっていました。少しでも落ちる場所がずれていたら30メートルは落下していたと思います……。氷河のある山に入り始めた頃で、僕も友人もクレバスを甘くみていました。

── 緊張感のある現場で働いていると、休日は家で過ごしたくなりますか?

それがですね、妻も登山やスキーが好きなたちでして。休みの日も外へ出かけることが多いです。昨年娘が生まれてからはあまり遠出はしていませんが、それでも3人で近所を歩いたり、簡単な山へピクニックへ出かけたりしています。僕が今暮らしているのはニュージーランドの最高峰であるマウントクックの麓にある村で、本当にもう自然しかないようなところなんですね。人口は300人くらいですし、スーパーもありません。だから外に出て遊ぶことは普通というか、それが一番の楽しみなんです。

── だんだんニュージーランド人みたいになってますね(笑)。

ははは、確かにそうかもしれません。日常とアウトドアの境目がないというか。それがひと続きであり、欠かせないものになっていますね。そういう暮らしをしていると、人間と自然は決して別々のものではなくて、全部繋がっているんだということを日々感じます。

冬はヘリスキーや氷河の上のバックカントリスキーツアー、アイスクライミングのツアーなどもガイドしている。 ©Taichiro Naka 

ヘリコプターで山頂へ
新雪を滑り降りる快感

── ニュージーランドで忘れられない風景はありますか?

う〜ん、難しい質問ですね! でも、昨年ヘリスキーのツアーで滑ったマウントクック国立公園の斜面は絶対忘れられないです。ニュージーランドではヘリスキーが盛んで、ヘリコプターで山の上まで移動して、そこからスキーで滑降するというアクティビティなのですが、昨年滑ったクリスティ・アナーキーというラインは環境が厳しくて、ヘリでもなかなかアクセスできない場所なんです。風など当日の気象条件もそうですし、雪の降り方、斜面への着き方、雪崩の危険後、グループの技量など、あらゆる条件が揃わないと安全に滑降できないとあって、年に数日くらいしかコンディションが整わないんです。

── 最後は運ということですね!

昨年は運よくその日に巡り会えて、夢だった斜面を滑ることができて! もしかしたらその年誰も足を踏み入れていない場所で、しかもまっさらな新雪の上を滑り降りるのは最高でしたね。もちろん危険な場所ですから、そのスリルも合間って興奮しました。

国際山岳ガイドとして
まだ知らぬ世界の山々へ

── 今後チャレンジしてみたいと思っていることはありますか?

今年、国際山岳ガイドの資格を取ったので、今後はぜひニュージーランド以外の場所でガイドをやってみたいと思っています。世界にはヘリスキーを楽しめる場所がまだまだたくさんあって、特にグリーンランドとインド北部エリアが気になっています。特にインドはヒマラヤが近いですから、4000〜5000m級の山があって、そこから滑るのは最高だろうなと思って。もちろんベースはずっとニュージーランドに置くつもりですが、もっともっと広い世界や多様な自然の姿を見て体験して、その素晴らしさを伝えて行きたいですね。

── ガイドをする上で、欠かせない必需品があったら教えてください。

手放せないのはMimic Hoodという化繊インサレーションジャケットです。ニュージーランドはものすごく天候の変化が激しくて、真夏でも雪が降ったりするんです。だから保温着は一年中常に必須。ニュージーランドの冬は北海道ほど寒くはないので、湿った雪でウェアが濡れてしまったり、標高が低い所だと雨に降られます。ダウンだと一度濡れてしまうと保温性が失われてしまいますが、化繊インサレーションなら問題ありません。あとは摩擦にも強くて、少々岩に擦れても破れないタフなところも気に入っています。

── これからニュージーランドに行ってみたい!という方へ一言お願いします。

ニュージーランドの自然はとにかくスケールが大きくて、氷河のある雪山はもちろん、素晴らしい森や草原、海やビーチもとても綺麗なところがたくさんあります。ヨーロッパのゴンドラの代わりに、ニュージーランドではヘリコプターを使って山小屋に入りそこから山に登るという人も多いんです。氷河の上の山小屋までヘリで荷物を運び、そこをベースにして数日間ゆったり過ごすというのも日本ではなかなかできない経験かなと思います。優雅でのんびりとした登山というのも新鮮で心地がいいですから、ぜひ体験してもらいたいですね。

文:小林百合子
写真:中泰一郎

プロフィール

中泰一郎

国際山岳ガイド・ホグロフスフレンズ

1982年生まれ、北海道出身。アウトドアガイドを志し、高校卒業と同時にニュージーランドへ渡る。クライストチャーチ工科大学で野外教育を学び、スキーパトロール、ラフティングガイドを経て、南島ウェストコーストで氷河ガイドを9年間務める。現在はマウントクック村にて夏は山岳ガイド、冬はヘリスキーガイドとして活動している。

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