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INTERVIEW No.02

ペオ・エクベリPEO EKBERG

ワンプラネット・カフェ取締役、
サステナビリティ・プロデューサ

サステナビリティ(持続可能性)は「希望」。その信念を元に、仕事やライフスタイルのあり方を提案するペオ・エクベリさん。彼は、70カ国を訪ねた経験から、どの国にも環境問題がある一方で、解決策も必ずあることを知ったという。日本を拠点に母国のスウェーデンやザンビアを行き来しながら、「持続可能な暮らしや働き方」を提案するペオさんに話を聞いた。

大切にしている言葉

スウェーデン・ゴットランド島にて、スウェーデンのエコ視察ツアー。

自然は誰もが「楽しめるもの」
スウェーデンで学んだこと

── スウェーデンでは、どのような子ども時代をすごしたのですか?

生まれたのはスウェーデンのマルメという大きな都市でした。だけど、私が動物にひどい態度をとったのを見た両親が心配し、田舎に引っ越すことになりました。『ニルスのふしぎな旅』の舞台であるスコーネ地方です。自然に囲まれて育つうちに、動物をいじめたりしなくなりました。

── スウェーデンといえば環境先進国ですね。環境に対する特別な考えがあるのですか?

一般的にスウェーデン人は、木を1本切ったら2本植えるという考えをもち、自然と生活がとても近い。スウェーデンには自然享受権があります。すべての人が、自然の中を自由に立ち入り活動できる権利です。私有地、国有地に限らず、その土地を乱さない限り自由に敷地に入ってキノコやベリーを採ってもいい。自然は「楽しめるもの」という考えがすごく身近なんですね。

中学生の体育の授業の時、サッカーをやると思っていたら先生が「今日は机の持ち方を学ぼう」と言いました。つまり、腰を痛めない持ち方、運び方です。これもサステナビリティのひとつなのです。

── なぜ机の運び方がサステナビリティなんですか?

「腰を痛めない机の持ち方」には健康と経済が含まれます。だって、腰を痛めたら医療費がかかる。これは誰が払います? 国民の医療負担が増えてしまう。スウェーデンでは「予防原則」(健康や環境に重大な影響を及ぼす恐れがある場合、規制措置を可能にする考え)が浸透しているんです。

── サステナビリティが医療費の節約につながるという考え方なんですね。

IKEAのレジを見ると日本との違いがわかります。会計の人は座ったまま仕事をしているし、買った商品をベルトコンベアに乗せるのも客です。10年同じ仕事をすれば、どこか体を悪くする。体を壊さないように働いているんです。スウェーデンではゴミ収集もリフトでゴミ箱を持ち上げる。これも「予防原則」です。

かつて、スウェーデンは税金が高いといわれていましたが、最近では下がってきているんですよ。環境、人間・健康、経済のバランスが取れるとサステナブルになるわけです。健康的になりお金もあれば、より環境に対する余裕も生まれますしね。

自宅のモニターで説明してくれるペオさん

サステナビリティを可能に
みんなが知り、実行する世界に

── 現在、ペオさんはどのような活動・事業をしているのですか?

ひとことで言うと、「サステナビリティを売る」ということでしょうか。エコツアーや視察の開催、バナナペーパー事業、サステナブルに関するコンサルタントをしています。

── 具体的に教えてください。

私たちが着ているTシャツ、カメラや化粧品、家、クルマ、使っているエネルギーなど、サステナビリティはあらゆる物に関係しています。だけど、一般の人には伝わりにくい部分がある。そのピースを集めて、一緒にパズルを作るのが私の役割だと思う。私は各ピースの深い知識を持っているわけではありません。ですが、それぞれの専門家がいます。サステナビリティとつなぐのが私の仕事です。

── ペオさんの自宅兼事務所は、サステナビリティが具体的にわかる作りになっていますね。

壁は漆喰にし、電気を点けなくても明るい採光に。ベランダにはミミズコンポスト、小型ソーラー発電機、使っている電気もグリーン電力です。マンションの部屋でも色々な仕組みを使って、様々なピースをつなぎ合わせています。この家は環境省によるデータが集計した日本の世帯と比べ、水7割減、ゴミ9割減、二酸化炭素排出量も9割減。エネルギー使用量は5割程度です。スウェーデンの知識と日本の建材がこれを可能にしたんです。

「サステナブルな生活を」というと、「スウェーデンだからできるんですよ」と言われるけど、そんなことはない。日本でもできることを証明したいと思ってリフォームしました。

ベランダにて。自宅のエネルギーはソーラーで回している。

ベランダに設置されているコンポスト。生ゴミはここで処分。

世界は同じ目標へ
全ては自然のために

── 実際にペオさんの意識を環境へと向かわせたきっかけはなんですか?

17歳の頃、熱帯雨林の森林伐採の記事を見てショックを受けました。大人はなにをやっているんだろうって思った。それで環境NGOを設立して、様々な人に出会い、ジャーナリストになりました。はじめはスポーツジャーナリスト、次に旅行、最後に環境ジャーナリストへと辿り着いた。たくさんの国に行きました。Aという国に行けば環境問題があることに気がつく。でも、Bという国に行けば問題解決がある。そこをつなげるのが私の仕事だと思っています。

── 仕事をする上で気をつけていることはありますか。

私のスタンスは、「批判より提案型のコンサルティング」です。一度理解すれば、人間は変わる。快適さを失わずに、サステナブルな暮らしや考え方が可能になる。体験はとても重要ですね。身近なことからはじめたらいい。オーガニックのコーヒーやTシャツを選択する。小さなことでもいいんです。

── ひとりひとりのサステナビリティが重要だと?

ええ。2030年までの国際目標にSDGs(持続可能な開発目標)という指標があります。「貧困をなくそう」「すべての人に保健と福祉を」「つくる責任つかう責任」というような人類の目標です。これは、193の加盟国が合意して採択された「世界を変革するための17の目標」です。たくさんの国、宗教、言語があるのにもかかわらず、世界は同じ目標に向かって進もうとしている。これはすごいことです。世界の環境問題はSDGsに集約されています。

── ペオさんが仕事を通して喜びを感じるのはどんなときですか?

私と話をした人が、実際に実行する時ですね。コンサルタントをする、記事を書く、講演で話して伝える。それが私の仕事です。すると、みなさん「ああ、いいですね」と言う。だけど、そこで終わるのは好きではない。「社員食堂でフェアトレードを導入したよ」とか、なにか1つが変わることがうれしいし、大切だと思う。「ペオさんごめんなさい、まだやってないんです」と謝る人がいますが、私にじゃなく、自然にごめんなさいを言う方がいい。僕を喜ばせるためではなく、サステナビリティのためにやるのですから。

ペオさんの自宅に飾られている、絶滅危惧種の動物たちのフィギュア。

バナナペーパーで
アフリカの動物と人間の暮らしを守る

── アフリカでバナナペーパーの事業をはじめたりと、ペオさんはアフリカとの関わりが深くなっています。アフリカに行くようになったきっかけは?

2006年に休暇でザンビアを訪れたことです。ザンビアの国立公園でキリンやゾウ、カバが自由に歩いているのを見ました。一方、アフリカは大きな問題を抱えています。ゾウはこの40年間で半分に、ライオンは70年で95%減った。携帯電話などに使うレアメタルはマウンテンゴリラの住む森を破壊して採掘し、アフリカではないけれど、WWFによると、日本に輸入されるコピー用紙の約80%がインドネシアから輸入されています。その原料はトラのすみかである熱帯林を破壊して作られています。ゴリラやトラが減ることと、私たちの暮らしは無関係ではありません。今必要なのは私たちの消費行動や暮らしの中でのアクションだと思います。

── バナナペーパー事業もその解決の1つですか?

バナナペーパー(ワンプラネット・ペーパー)は、日本初のフェアトレード認証の紙です。木が育つには何年もかかりますが、バナナの木(仮茎)は1年で成長します。バナナが実をつけるのは、1本の仮茎に1度だけ。収穫時には古い茎を切ってしまうので、捨てられる茎の繊維を利用し、質の高い紙を作っています。バナナペーパーはSDGsの目標すべてにつながっています。日本の越前和紙の工場とアフリカのバナナ農家や村の人々とのコラボで生まれ、人、森、野生動物を守る紙です。現在、世界4カ国で展開しています。

── バナナペーパーによって雇用が生まれているんですね。

直接雇用は20名程度ですが、紙を通して1000人以上の暮らしを支えています。ザンビアでは仕事がない人は、森林伐採や密猟者にならざるをえないことがある。バナナペーパー工場で働く人の中には、密猟者になりそうな状況下にいた人たちもいた。ですが、今は工場で働いてもらっています。本当に楽しそうに働いてくれているんですよ。

── 最後に、ペオさんが大切にしている言葉を教えてください。

「Walk the Talk」、日本語で「有言実行」です。いい言葉は人を動かす。日本では、「エコ言い訳」を聞きます。私の家で1カ月に出るゴミはサッカーボール1つ分です。でも、「ペオさんはスウェーデン人だから」って言われる。そんなの関係ある? 僕の奥さんは日本人だよって言っても、「スウェーデン人と結婚しているから」と返ってくる。じゃあ、環境問題を解決するにはスウェーデン人と結婚すればいいってことになるよね。でも、そんなことはない。日本人でも可能です。ポジティブな言葉を通して、僕はサステナビリティを実現するのは可能だと言い続けたい。サステナビリティは「希望」なのですから。

ザンビアで生活するバナナ農家さんと

文:井上英樹(MONKEYWORKS)
写真:相馬ミナ

プロフィール

ペオ・エクベリ

サステナビリティ・プロデューサ

スウェーデン出身。NGO環境団体のリーダー、ジャーナリストを経て、1997年にOne World国際環境ビジネスネットワークを設立し、環境問題の解決やサステナビリティについての講演、コラム執筆、テレビやラジオの環境番組に出演・キャスターをつとめる。 2011年春、フェアトレード紙作りとして、One Planet Caféザンビアのチームと共にバナナペーパープロジェクトをスタート。2012年にOneWorldと統合し、現職。著書に『うちエコ入門』(宝島社)がある。

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