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NEWS > フレンズレポート ホグロフスフレンズ対談 みなかみの冬山を滑る(後編)

minakamitalk2_01秋の下見から数えると合計10回を越す朝日岳アタック。最後には気持ちのよいblue skyが顔を出してくれた。@朝日岳

ホグロフスフレンズのスノーボーダー前原大和とフォトグラファー桑野智和のお二人に、彼らが活動のベースとする群馬の山々(みなかみ、片品)の魅力について語っていただいた。(前編はこちら

─ 先ほどみなかみにはいろんなキャラが山あるとおっしゃってましたが、どんなボードを使ってますか?

前原(以下「前」) オレは、パークもやったし、ボーダークロスとかもやってきていろんな板乗ってきたし、パウダーボードで谷川のピークとかも滑ったことあるけど、結果今落ち着くところはキャンバーボードですね。キャンバーボード1本で全てこなせるっていう。

桑野(以下「桑」) ダブルキャンバーとかハイブリッドキャンバーとかじゃなくて?

前 ノーマルなキャンバーボードで十分。しっかりした固さがあるキャンバー。ピークからひと息にボトムまで滑るってなると距離も長くて、雪質がコロコロ変わってくるんだよね。「うわーパウダーだぁ!」と思ったら、いきなりアイスバーンで「ガシガシー!」みたいなときに、やっぱりキャンバーだとガッと食って反応して持ち堪えて減速できたりとかね。途中にクリフとかマッシュとかあっても、ちゃんとスピードコントロールしてオーリーかけてっていう扱いも、やっぱりキャンバーになってくるかな。

桑 僕はライダーじゃなくて一般ボーダーなので参考になるかわからないけど、ここ数年はgentemstickのような上質のパウダーボードにハマっていますね。マチガ沢を降りた時も144cmのスワローテイル型。普通に考えると短すぎるし、テールで踏ん張れないから危なっかしいのだろうけど、急峻で狭い地形には魚のように動き、とてもマッチしてくれました。何より今期は滑りこんでいるのである程度の自信がありました。所詮、一般人レベルですが(笑)。

minakamitalk2_02雪不足の2016シーズンだったがヤマトは果敢に自分のラインを残していく。ここもおそらくファーストディセントのクリフシュートだ。@武尊山 剣ヶ峰周辺

─ ウエアとかその他の装備は?

前 やっぱりハイクアップの段階で極力汗をかかないようにってのを心がけてますね。ちょっとでも暑いと思ったらどんどん脱いでいく。アウター脱いだりとか、もちろん今日は登るなぁってときに天気見て、ベースレイヤーを薄いもの厚いものとか合わせるのは基本。あとは、汗かいちゃうとどんどん寒くなっちゃうし体力も失われるし、呼吸も乱さないように一定のペースで汗もかかないように登って行って、休むときとかピークに着いたらすぐに着込む。カラダ冷やす前に。

桑 小さくなるダウンとかもね。

前 もちろん常に持ち合わせてないと。山頂が風が強いことが多いから。

桑 中にも外にも着られるしね。

minakamitalk2_03何度も挑戦して引き返した朝日岳山系笠ヶ岳の避難小屋。夏は5時間。冬は7時間かけてたどり着く。家の「近く」の「遠い」山。

前 あと手袋は、ハイクのときと滑るときは変えて、ピークに着いたら濡れてない、乾いたグローブをしっかり着ける。ゴーグルについても同じだし、登るときから着けてると汗で曇ってきちゃうから、天気いい日とかはサングラスとかして、ゴーグルはバッグにしまっておく。そう考えるとバッグの容量とかも、20リットルじゃ小さくて、日帰りの山とかでも30リットルとかそれぐらいが必要かな。

桑 3個あるといいと思うんだよね。サイドカントリー用で20から25リットルぐらい。で日帰りでハイクしてアタックする用に30から40リットルぐらい、それと一泊用。60リットルぐらい? 夏も使えるし。

前 用途によって色々変えていくのは必要。

─ 山で泊まるようなケースもありますよね?

前 冬山で泊まるとかになってくるとギアとかの使い方が究極のレベルなんで、グローブが濡れてるともう朝、ガチガチの氷の塊に手を入れるみたいになっちゃうからね(笑)。それが嫌で、バーナーとかで温めてたら、気づかずに焦がしちゃったりしてね。
着るものもそうだし、やっぱり夜テントで寝ることになれば、ブーツを外に出しっぱなしにしたりすると、もちろんガチガチで履けないから。寝袋の中にブーツのインナーも入れて、冷やさないように寝るとかしないと。朝、固くて冷たいブーツとか履いたら、いつまでも足が冷たくて、ライディングに差し支えたりする。

minakamitalk2_06避難小屋の内部。大人が3人寝れるのだが、結露がひどくて一筋縄では快適に過ごせない。サバイバル技術が試される。@笠ヶ岳

桑 パウダーとか好きだから、ウエアも雪がくっつかずにサラっと落ちてくれるのがいい。蒸れない透湿性とかも大事だね。ベンチレーションとかで体温調節も。 ウエア選ぶ時の小さなポイントにしているのは、脇の下のベンチレーションがあるかどうか。吹雪いていても脇だけ通気出来て本当に助かっているよ。

前 ホグロフスに関していえば、ウエアが濡れるとかそういう心配がないよね。人が濡れてるのとか見ると、もうかわいそうになっちゃうよね(笑)。自分が濡れないからさ。

─ この記事を読んでる読者の方に伝えたいこととかありますか?

前 みなかみの武尊、朝日、谷川とかやってきて写真残してきたけど、いい場所をいいときに滑るっていうのには、何が重要なのかなって考えたら、撮影とかに限ったことじゃなくて、一般の人が東京とかから休み使って、どうやればいいときにいい所を当てられるのかなぁとか考えると…

桑 もちろん現地に住んでる人がいいときにいい所当てられるのは当たり前だからね。

前 そう、だからやっぱりローカルの人たちとのコミュニケーションで情報を日々得るのはかなり大切だよね。「今日、天気そっちどうなの?」とか「どれくらい積もってるの?」とか「え?3日で2m超えたの?」だの、そういう情報も大事だしね。あと毎日、Yahooの天気だけじゃなくて、SnowForecastとか、携帯の方はどうだろうなぁとか。いろんな情報もバラつきあるから。オレの場合は、携帯の天気見て、SnowForecast見て、Yahoo!の天気図とか見て想像して、今週はどうかなぁとか予想したりするかな。

桑 僕の場合は、地元に住んでるから、パッと窓から山見て、空見て、雲の流れとか見て判断するかなぁ。冬型のときと南岸低気圧のときじゃ雲の流れも逆になったりするから。大きな山行や撮影がある時は、1週間前から雪や雲や風を見ています。その積み重ねが自分なりのデータになり、財産になっています。

前 あと、無事に家に帰ってくるっていうのが大前提だから、滑るメンバーっていうのも重要視されるよね。自分が打ち解けてる、分かり合ってる仲間じゃないとダメ。ひとりでもね、グループの中に先走るやつとか、ちょっとうっかり者のやつとかいたら嫌だしね。

桑 絶対ヤマトが先走ってるけどね(笑)。

前 確かに先走ってるけど(笑)、まぁそこもどこまでその人を理解してるのかっていうのも大事でしょ。こいつは先走るやつだから、ちょっとひと声かけとかないと、注意を促しとかないといけないとかね。それも含めての面子だよね。

minakamitalk2_04第2回、満月の月明かりだけで谷川岳頂上から滑走する会。夕暮れが息を飲むほど美しかった。しかし満月は出なくて斜面はアイスバーン。漆黒に響くカリカリ音が今でも忘れられない。@谷川岳 肩の広場

桑 天気が怪しくなってきたときに、あんまり無理せず、撤退する判断とかも大事。

前 あとはあんまりタイトなスケジュールでアタックしないってことだよね。

桑 スケジュールに縛られるとね。無理するから。

前 山を本当にやるんだったら、仕事選びも大事だね。タイトなスケジュールになっちゃうような仕事だと難しいのかもね。本当の安全を考えたら。

─ これからの予定とか、やっていきたいことなど聞かせてください。

前 宝台樹のピークから、小さい頃からずーっと山々を眺めてきたけど、今見てみるとね、谷川がバーンと見えてね、マチガ沢「ああ、あそこ滑ったなぁ」って、で隣に白毛門、笠ヶ岳、朝日岳ってあって「あぁ行ってみて~」って思ってたら、もう今は「あそこ滑った。あの裏も滑った」とかなるけどね。

桑 でも朝日岳から見たジャクションピークとか、谷川、馬蹄形回ってみるっていう見方もあるし、武尊もね、山の上のほうがロックがせり出してたりしてね。

前 まぁまだまだこのみなかみから離れる気は全然ないね。生涯ずっとみなかみをやりつづけても滑りきらないから。まだまだ滑りたい斜面がありすぎて。で今年の試みとしては、言っちゃっうと…

桑 言っちゃていいのかな?

前 モービルで…

桑 モービル2台で。ドローンもゲットしました。

前 冬はちょっと人が絶対行けないルートで、ある山をねっ。そんな試みも近いうちに報告できるかもしれないですね。

minakamitalk2_05川場スキー場アクセスで武尊山から宝台樹スキー場にあるヤマトの実家までピクニック。パウダー、森、崖などを経由して9時間かけて無事帰宅。@武尊山西面

写真=桑野智和